贖銅(ぞくどう)の刑

困惑した表情を浮かべた千歳。

それを見た実は、クスクスと笑った。

「…じゃあ、次はこれでも言っとくか、千歳?」

…次々と、再現されていく、音声による千歳の悲しいイジメと差別の、過去。

どこから?どうやって?正にその現場にいる人間にしか聞く事の出来ない、リアルなイジメと差別の罵声と悲鳴。

「何で?何でこんな所に私の過去が詰め込まれたテープが存在するの?」

その言葉を聞いた瞬間、今まで笑っていた実の顔からいっさいの笑みが消え、鬼のような形相をしてそのレコーダーのスイッチを切ると、ゆっくり、ゆっくりと千歳の方へ近づいて言った。

そして老婆に取り押さえられている千歳の前まで来ると、実はしゃがみ込んで、ポケットからある物を取り出して、千歳に言った。

「最近は、ICレコーダーらしいな。おふくろが使っていたのは。

…お待たせ。前置きが長かったが、これが、お前が今から俺に犯される理由だ。」

そう言って実は、そのICレコーダーを、千歳の目の前で再生した。




-…偉くなったもんだねえ、ええ?祐子!