幼なじみの意中の人は、味方であり敵でもある？ 私立稲月高校に通う一年生、松永春子は、春子の一つ上の先輩で憧れの人、安宮礼士と二人だけの奇術同好会のメンバーだった。 ある日、二人が偶然知ってしまった学校内での、とある少女の一人の少女に対する復讐計画。そして、その数日後に二人宛に突きつけられた、吸血奇術師（ﾏｼﾞｶﾙｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱ）と名乗る怪人からの挑戦状。 その内容とは何と、奇術的トリックを用いて、復讐を企てている少女の手助けをすると言うものであった！ 「ハルちゃん！またヴァンパイアからの挑戦状だ。 悪巧みする奴の手助けを喜んでやるなんて、何て奴だろう！ …挑戦状、受けよう！」 「そ、そうね…」 春子は、内心複雑だった。何故なら、彼女しか知らない秘密があったからだ。 －ヴァンパイアの正体…それは、二重人格者の、もう一人の礼士！－

一月十五日も過ぎ、お正月ムードも落ち着きかけた頃、奇術同好会の二人に吸血奇術師（ﾏｼﾞｶﾙｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱ）からの挑戦状が叩きつけられた。 「これから起こる事件には、三つの結末が用意されている。 乙女座（ｳﾞｧﾙｺﾞ）、そして安宮礼士。見事正しい結末にたどり着けるかな？」 今から一年前、稲月高校かるた部にふりかかった、悪夢の連帯責任事件。 そして今回、新たにかるた部で起ころうとしている事件。 事件をおこそうと企む犯人、そしてその手助けをしようとしている吸血奇術師。 それを食い止めるため、その挑戦を受けた春子と礼士。 だが、その果てに春子と礼士が見つけた物… それは犯人でも無く吸血奇術師でも無く、本当に戦うべき敵の姿だった！

クラスいち、しつこい男子、中川猛と口論になり、つい無理難題を約束してしまった乙女座こと、松永春子。 その無理難題とは、クラスメートのみんなが取り囲む中で、クラスメートの一人が指定したトランプのカードを、見事消し去ると言うものであった！ 失敗したら、奇術同好会自体を消し去る約束までしてしまった春子。 「え～ん、どうしよう！」 半泣きになりながら、憧れの先輩、安宮礼士に相談する為、奇術同好会に駆け込んだ春子だったが… 「…知恵を貸してやっても良いぜ。 ただし、クリスマス・イヴに向けて計画された、ある一人の女の、一組のカップルを別れさせようと言う復讐を止めてくれればな！」 話した相手は、いつの間にか目覚めていたヴァンパイア礼士だった… …春子がやがてたどり着く、『カード消滅トリック』と、イヴに向けて計画された、悪魔の女の、一組のカップルに向けて放たれる、『愛消失トリック』に共通した、意外な答えとは!?

「誰にでも恋する自由はある。」 一度は耳にしたことがある言葉だろう。 決して嘘ではないし、これが嘘になってしまう世界は想像すらしたくない。 この言葉は、こう続く。 「誰にでも恋する自由はある。ただし、誰もが望む恋物語を送れるわけではない。」 と。