「ごめんな…最近ばあちゃん、少し認知症の気があるものだから。

もう一杯、いるか?」

「う、ううん。

ご、ごちそうさま。」

千歳がそう言うと、実は、そうか、と一言言ったきり、黙りこくったまま、ただじっと、真剣な眼差しで千歳の方を見つめていた。

「…と、所で、今日は一体どうしたの?

私を自宅に呼んだりなんかして…」

いつものような親しみを感じない、自分を見つめる実の眼差しに耐えきれなくなったのと、少し疲れを覚え始めた千歳は、話題を切りだした。

すると、実は突然、奇妙な事を言い出した。

「…なあ、千歳?」

「は、はい?」

「俺達ってさあ、世間からしたら、まあ、不幸な人間の分類になると思うんだけれども…」

「ま、まあ、そうね。私も実君も、小さい頃から、さんざんな目に…」

「ただ、今日はその事についてと言うよりは、いや、もちろん関係はあるけれども、俺がお前に尋ねてみたいポイントは、実は、そこじゃない。」

「?」

千歳は、実が一体何を言わんとしているのかが、全く分からなかった。

続けて、実は千歳に問いかけた。