贖銅(ぞくどう)の刑

突然泣き出した、千歳に驚く実になだめられて、千歳は徐々に落ち着きを取り戻し、実にその写真の裏を見るように伝えた。

そこには、あるメッセージが書かれていた。

-家族四人、何時までも幸せでいられますように-

「これが?」

「前にも実君にも言った事だけれど、母さんは、私に離婚したのは、私が顔に火傷を負った後って言ってた。

でも、そこには火傷を負う前の私がいる。

…そして、そこには父さんが、いない。」

「お前の父さんが、この写真を撮ってたとしたら、つじつまが合うんじゃ…」

「じゃあ、そのメッセージは、少し、変。

仮に撮影者が父さんだとして、撮影された写真の裏に、わざわざ父さんを頭数にいれていないような書き方、『家族四人』なんて書く訳ない。

その書き方だと、あたかも最初から父さん自身がいなかった事になる。

おじいちゃん、おばあちゃんを問い詰めたら、案の定、あの人、未婚の母親だって事が分かったの。」

「でっ、でもよくそんな写真見つけてきたな。」

「あの人の部屋に、飾ってあった写真よ。

不自然な点があって、判明した。」

「不自然な点?」