-確かに。最近の私、少し良い顔になったかも。

自分の存在を認めてくれる、大切な仲間、手に入れたから…-

暴走族に入っている、と言う事は当然、おばあさんには話さなかった。

ただ単に、後で仲直りの電話を自分からする、と先回りしておばあさんに伝えた上で一息着くと、母親にケータイで連絡を取った。

そして、母親のベッドの上に、ごろんと仰向けになって寝転んだ。




…それから長い間、千歳は寝ころびながら、部屋の中を珍しそうに見回していた。

実際、千歳はこの部屋に一人で入るのは初めてだった。

いや、むしろこの家に訪れる事自体、本当の所、生まれてから数えるほどしかなかったのであった。

所で、千歳は自分だけでなく、家族自身も暗い影を背負っている様に、今日の今日まで感じていた。

自分、母親、おじいさん、おばあさん…

父親は、実と同じく、自分が産まれ、ひどい火傷を負った直後には、離婚していなかったと聞かされている。

離婚の理由は、聞いても頑として教えてはくれなかった。

千歳の記憶では、母親に連れられてこの家に来るときはいつも、母親の顔は曇っていた。