一応、ビーナスビートは、県境を越えて名が知れ渡る、強力なチームであった。

その為、学校内の不良の中にも、地元の暴走族チームに入っている者もいたが、力の差がありすぎる為、下手に千歳に手を出して、自分がビーナスビートから目を付けられる事を恐れた。

-何て卑怯な奴らなんだろう。

弱い者にしか攻撃しない、クズ共。

…将来、絶対にこの県から出てってやる!-

そんなある日、千歳の母親は、担任教師に学校に呼び出されていた。

「…つまり、お宅のお嬢さんがですな、非常に学生としてあるべき姿から、かけ離れた位置にいるんですなあ…」

「…そ、そんな…う、うちの子が!?」




「ち、ちいちゃん!あ、あなた暴走族に入っているって、本当?」

「…」

「千歳!」

「…おかげで、イジメられる事がなくなった。

暴走族様々よ…」

その時、千歳の右頬にピシャリと、母親の祐子の平手が打たれた。