「羅衣っ…待てよ!」
「いやっ…!」
どうして追いかけてくるの?
あたしを1人にしてよ。
もう好きじゃなくなりたいよ。
お兄ちゃんと兄妹になんてなりたくなかったよ。
「羅衣っ!」
「来ないでよっ…!!」
「無理に決まってんだろ!」
「きゃっ…」
捕まえないでよ。
忘れたいのに。
「なんで、逃げんの?」
「…離して」
「離さない」
「…なんでよぉ」
「泣くなよ、羅衣」
“羅衣に泣かれたら僕困るよ”
小さいときからそうだよね。
あたしが泣くとお兄ちゃんは困るんだもん。
「琉生く…」
「んだよ…うぜぇ」
え?
今“うぜぇ”って言った?
お兄ちゃん今、“うぜぇ”って…。
「る、琉生くん?」
「お前嫌いなんだよ。まとわりつきやがって」
「あ…その…え?」
…そうなりますよね。
お兄ちゃん滅多に怒らないもん。
「俺は今、羅衣と話してんの。目障りじゃん、お前」
「う…うわぁぁーん!」
「あ…」
「お兄ちゃん…」
女の子は泣いて逃げてしまった。
怒ったお兄ちゃんを止める術はあたしは知らない。
どう止めればいいのだろうか?
あたしが聞きたい、本気で。
「で、なんで逃げた?」
「…お兄ちゃん」
「ん?」
「お兄ちゃんってどうして恋愛の話になったら黙るの?」
「はぁー?今関係ねぇ…」
「あるよ、大有り」
「……」
ほら、黙る。
どうして黙るの?
好きな人がいるから?

