松井春華(まついはるか)。



3年で同じクラスになった彼女は常に男子の話題の的になっている可愛い女の子。



そんなアイドル的存在の松井春華ちゃんと地味なあたしは対極にいるようでずっと接点なんてなかった。

でもある日、彼女が他の女子達に嫌がらせをされてることを知ってしまったことから距離が縮まっていく。





男子からの告白が耐えなかった春ちゃんは、女子から逆恨みをされることも多かったみたいで。



その日は体育服を隠されて、それを必死で探していた。



あたしも小学校の時、クラスの目立ってる男子達に同じことをされたことがあったから、必死に探す春ちゃんの姿は見てられなかった。





『あのさ…一緒に探すよ』


『え?』





あたしを見て大きな目をもっと大きく見開いた春ちゃんは女のあたしからしてもとっても可愛かった。



その日から、春ちゃんは休み時間になればあたしの元に話しに来てくれた。

あたしが彼女のことを、春ちゃんと呼ぶようになった日のことは鮮明に覚えてる。





『吉丘さんのこと、桃ちゃんって呼んでいい?』


『う、うん!いいの?』


『いいのとか言わないでよ。友達でしょ?』


『友達?う、嬉しい…』





初めて出来た同性の友達。

嬉しくて嬉しくて、早く春に報告したかった。





『じゃぁ、あたしのことは、春ちゃんって呼んで』


『春華で……春ちゃん?』





“春”って言葉で、思い出すのは大切な友達で…。





『桃ちゃんなんで笑ってるの?』


『あ、ごめん。あたし隣のクラスに“春”っていう友達がいるの。あたしの友達、2人共“春”だなと思って』





その日から、休み時間や放課後は、あたしと、春と、春ちゃんの3人で一緒に過ごすようになった。