一緒に並んでキッチンに立つ。


緊張するほどの近い距離。

それが嬉しくて顔の筋肉が緩む。





「そういや、お前あのレシピ本は?」


「あぁ、グラタン100選?あれは、上級者向けであたしにはダメだった……って、あぁっ!?」


「何だよ?」





あたしが急に大きな声を出したものだから、晴は怪訝そうにこっちを見る。





「あ、あの、帯の文句は、あ、あんまり深い意味はないから気にしないでね!」


「あぁ“グラタン好きの彼のハートをゲット”ってやつ?」


「く、口に出さないでよ…」





瞬間湯沸かし機の様に、頬に熱を集中させるあたしを見て、晴が楽しそうに笑ってる。

それを見てちょっと安心した。


良かった、ちょっと元気になったみたいだね。