“グラタン100選!”



今あたしが持ってる本の名前。

帯の文句にひかれて中身を見ずに買ってしまった。





「…“グラタン好きの彼のハートをゲット”?」





後ろからするはずのない声がして、恐る恐る振り向くと、晴が寝転んだままの姿勢で“グラタン100選!”の帯をジッと見つめてた。





「は、晴!?いつから起きてたの?」






いつもは、予鈴が鳴っても起きなくて、あたしがゆすり落とすくらいしないと起きないくせに……。

って言うか、見られた!



晴は寝転んでたから、開いてた本の表紙が横から見えたんだ!

急いで本を閉じてそれを抱きしめる様にして晴の視界から隠す。


でも、晴は起き上がって、あたしの腕からその本を抜き取った。




「あっ!晴!?ダメっ!」


「……」