故郷だろうか。 ・・・・・家族のいる、温かい故郷。 あいつに、家族はいたんだろうか。 なんて事を考えているうちに、少し慌しい屯所へとつく。 「おっ、土方さんじゃねぇか。 ・・・・・ちょっと見てくれよ、酒かけたら傷治ったぜ」 パックリと割れていたはずの親指を、誇らしげに見せる永倉。 なんでも、彼は治療よりも酒で治す馬鹿の頂点なんだとか。 「はぁ――――・・・・・そんなんで治る訳ねぇだろ。 明日来る松本先生に、ちゃんと見てもらっとけ」