それが、千歳が生まれてから何年か経ったある日。 母親を、狂った行動へと走らせる。 『お母さーん、どこ行くのー?』 『・・・・・綺麗なお魚がいるの、見に行こっか』 『うんっ!!』 その会話が、最後の楽しい会話となった。 これが、最後だったなんて母親はともかく千歳は思っていなかっただろう。 川を覗き込み、ずっと魚を探し続けている千歳に・・・・・ 母親は、川原の石を振り上げた。 子供が母親の力に、適うはずもない。 抵抗も空しく――――千歳は、一人で川原の傍で死ぬはずだった。