「こ、これ…。」


ハッと息を呑んだまま、固まってしまった。

うん、予想通り。

大きく見開いた瞳を、下からゆっくりと覗き込んで。


玲、―――。

俺も、同じことを考えていたんだ。


驚いている玲の前に、手にした紙を広げた。


「あ、―――。」


「今日、貰って来たんだ。

…婚姻届。」


「うわ、本物だ…。」


玲の瞳が、きらきらと輝きだした。


「…っ。」


「翼―っ。」


頭をコツンと、俺の肩に、乗せる。

すっと見上げた瞳には、うっすらと涙が輝いていた。


あーあ。


…ったく、ね…。


その目、に、いつも俺はやられるんだ…。

パーツでね、どこが好きかと聞かれたら。

玲の目、と答えると思う。

すっぴんだからか、少し幼く見えて、より一層可愛らしい。

勿論、知れば知るほど、玲という人間が愛しくて仕方ない。

だけど、最初に俺の胸を射抜いたのは、玲の凛とした眼差しだったから。

くるくると変わる表情に、俺はいつも胸をときめかせるんだ。


そして、―――。

俺が一番好きなのは、玲のこの表情。

丸い瞳が、三日月みたいに弓なりになって、嬉しそうに笑うこの顔が好きなんだ。


そっと頭に手を乗せ、髪を撫でる。

自分でも、正直、戸惑っている。


玲に関しては、俺、必死過ぎ。