「好きだったよ。すっごく!!」


何、言ってんの、私…。


「えっ…。」


ほら、航太もびっくりしてる…。


「私が話してるとね、口角がゆっくりと上がって、目が優しくなるの。

あの頃、航太のその顔が見たくて、見たくて…。

ドキドキしながら、話してた。

知らなかったでしょ?」


「玲…。」


「彼が言ってくれたの。

俺の前に、フリーで現れてくれてありがとうって。

だから、航太と一緒に過ごした時間は、後悔してない。

それも、私に必要な時間だったんだって、やっと、…やっと、思えるようになった。」


「そっか。彼はいい男だね。」


ふわりと下がる目尻に、私は少し泣きそうになった。


「うん。そう思えるようにしてくれたのが、彼、だから。

航太の時とは違う、愛の形…だけど…。

どうしようもないくらい、彼のことが好きなんだよね、へへ。」


「おいおい、―――。

っていうかさ、玲がこんなにはっきりと好きだって言えるようになったのが驚きだよ。

たった今、失恋した俺に、思いっきり塩、塗り込んだな。」


「先に塩、塗り込まれたのは私だもん。」


こんなジョークも言えるようになるなんて、少し前までは考えられなかったのに。


「キス…。」


「え、――??」