え、―――?


「こ、航太っ??」


「参ったよ。

まさか結婚が決まってるなんて、思わなかったからさ。

今、かなり落ち込み中。」


「へ、―――? 」


動揺した私の声は、なかなかの裏返りよう…。

それと同時に、ははっと、航太も笑い出す。


「あの時の、彼、だろ?

病院で一緒だった―――?」


「うん。そうだよ。」


落ち着かなきゃ。

落ち着いて、ちゃんと答えなきゃ。


「そっか。幸せ?」


「うん。すごく大切にしてくれるし、めちゃくちゃ、幸せだよ。」


私は航太の瞳に真っ直ぐに応えた。


「あの時、…病院でさ、追いかければ良かったって後悔してさ。

玲には、後悔ばっかりだ…。

だけど、やっぱり、玲とは縁がなかったってことだよな。」


航太。

私も、悩んだんだよ。

このまま、航太に戻れるんじゃないかって。


だけど、違ったの―――。


私が、心からそばにいて欲しいと願ったのは、


翼だったから…。


「そうだね、私たちは、縁があって恋人には慣れたけれど、ずっと一緒にいられる運命ではなかった…ってことだね。」


「ふはっ。…運命か。」


航太の口角がゆっくりと上がった。



…あっ。


「航太っ。

私、航太のその顔、――――!!」


咄嗟に出た言葉に、自分でも驚いてしまった。