「麻友理は人として、どうかと思うよ?
だけどね、渡瀬さんも渡瀬さんでしょう?」
―――――。
「あいつがぶれなかったら、何も起こらなかったんだから。」
あ、あいつ、呼ばわり…。
麻友理のことがあってから、攻撃の矛先は全て、航太に向っていた。
「でもまあ、結果オーライ?
玲は今、上原さんと幸せなんだし。
上原さんは浮気なんか、しないもんね。」
「ん、もう。梨花ったら。」
翼さん、ただ今女の子たちに囲まれて、楽しそうに話してるんですけど、ね。
「来たっ!!
玲、来たよっ!!」
―――――!!!
「よし、笑うよ?
玲も強張ってないで、笑って!!」
「この度は、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
紺ちゃん側の、受付の人たちはにこやかに笑って対応している。
二人が受付を済ませる隣で、私たちも綾子の親戚の方たちの対応に追われていた。
「よっ。玲ちゃん。」
先に受付を終わらせた佐藤君が、私に声をかけた。
「佐藤君。」
私は、梨花に言われた通り、満面の笑みで佐藤君に笑いかけた。
「綺麗だね、玲ちゃん。
仕事で会うのと全然違うじゃん。
梨花ちゃんも結婚したんだってね。おめでとう。」
何気ない会話に、お互いの距離感を測ろうとしているのがわかる。