もう、いいよ、――――。


そう、言いかけた時だった。


「ピンクだけは、嫌なの。」


真っ直ぐに向けられたひと言に、俺は固まってしまった。


―――――――!!


…っ、あああん??


「え、―――!?

玲、何……?」


俺は玲に向き合おうと、身体を起こす。


まさか、の、そこに話は戻るわけ…?

いや、そこまで嫌がるなら、俺も別にいいんだけど、さ。

ピンク、可愛いと思ったよ?

絶対、似合うだろうけど、思うけどさ…。

そこまで頑なに拒否されたら、諦めもつくわけで。


「ずっと考えてて、…。」


「あ、ああ…。」


だけど、そこまで拒否る理由って、何なんだ?

単純に、ピンクが嫌いってわけじゃないだろう?


それを、俺は聞くべきか。

そうか、と軽く流すべきか。


「あのね、翼。」


―――――――。


玲は俯いたまま、少し悩んでいるような、雰囲気で。


これから何を言い出すんだ?


俺は少し身構えて、玲へと視線を向けた。


「何、――――?

…どうしたの?」


「…あの、翼が嫌がるかと思って…、うん…。」


「何だよ。はっきり言いなって。」


「怒んない?」


玲は上目づかいに俺を見つめた。


あー、…ったく。

その目に、俺、弱いんだよなあ。


「怒んないよ。」


「ほんと…?」


ふうーっと息を吐いた玲は、俺を真っ直ぐに見つめながら、言い放った。