朝、目が覚めると、翼は既に出かけていた。


あー、……。

結局、ソファで寝たんだ。

行ってきます、なかったな…。

当然といえば、当然、…。

昨日の私、最悪だと自分でもわかってる。


翼、――――。

昨日は結構、飲んでたよね…。

誰と一緒にいたんだろう…。


―――――。


時計を見ると、8時を指していた。

確か、朝練は8時まで。

もうすぐ翼、帰ってきちゃう…。


はぁー。

何となく、顔を合わせるのが、…億劫…。


私はお財布と携帯だけを持って家を出た。

土曜の朝から行く場所なんて、ないし。


「それで、家に来たってわけ??」


「…うん。」


そう、ここは綾子の家。


綾子の家と言っても、紺ちゃんと一緒に住んでいるから二人の家なんだけどね…。


「もう、―――。

せっかくの休みなのに、朝から来ないでよ。」


「ほら、綾子もそんなこと言うなって。

玲ちゃん、どこも行くとこなかったんだろう?」


パジャマ姿の二人に挟まれて、私は小さく俯いた。


「もうっ、―――。

着替えてくるから、玲、朝ごはん作ってよね。」


「はーい…。」


勝手しったるキッチンへ行き、冷蔵庫を確認して朝食の準備をする。

簡単にスクランブルエッグにトマトを添えて、パンが焼き上がったところに、紺ちゃんがコーヒーを淹れてくれた。