結局、――――。

玲はカラードレスを見ることもしないで、店を出て行ってしまった。

プランナーさんは苦笑いだし、俺は開いた口が塞がらない!


「確かに、……。

吉野には、ピンクっちゅうイメージはない…。」


「いやっ!!

そんなことないですよ。

玲はピンクが似合います!!」


「そ、そーか…?」


滅多にアルコールは口にしない俺だけど。

今日は飲まさせてもらいますよ。

だって、家に帰っても玲が怒っているだけだしね。


「まあ、結婚式は女子がメインやからなあ。

上原選手も吉野のことは吉野に任せとったら、ええんちゃう?」


「…っ。」


諏訪さんまで!!

ったく、相談する人、間違った!!

桜木さんにすれば良かったよ。


「それくらい、わかってますよ。」


俺は白ワインを、がぶ飲みする。

あー、……。

このもやもやした感じで家に帰るの、嫌なんだけど。


どうせ今頃、―――。


玲は、自分の部屋に籠ってるはずだ。

久しぶりに一緒に出かけたっつーのに、怒って帰ってしまうなんて、女の子のすることか?

それも結婚式の打ち合わせ中にだぞ。


「すみません、ワインリスト、見せてください。」


「上原選手、飲み過ぎやって。」


隣で爆笑する諏訪さんを、俺は拗ねた視線で睨み返した。


「…っ。」


確かに、玲が着るんだけどさあ…。