「上原選手ですよね?」

「写真いいですかぁ?」

「サイン、下さいっ。」


いいですよ?

いいですけどね?

その間、受け付けは私、一人。

バタバタと、結構、忙しかったんですけど。


にっこりと笑い、カメラの前に立つ翼にちょっとヤキモチ…。

確かに、―――。

いつものジャージ姿とは違って、スーツの翼は格好良かったよ?


「ネクタイが、慣れない…。」


なんて、面倒くさそうに顔を歪めてたけど。

翼のことを知らない人でも、目を引くイケメンっぷりだったと思う。


おまけに、

「狙い通りやな。

翼くんに受付、頼んで良かったぁ。」

なんて、のたまった諏訪さんにもムカついたし。


「玲もそういうの、嬉しいの?」


桜木さんから渡されたブーケを見ながら、翼は言う。


「勿論っ!!

ブーケもらえるなんて思ってなかったもん。

すっごい、嬉しいっ。」


「へええ。

そういうもんなんだ。」


―――――――。


「翼、なんか癪に障るんですけど。」


「え、―――?

俺、変なこと言った??」


―――――――。


「玲、何か…、怒ってる…?」


覗き込むように私の顔に近付いて。


……、そんな顔、ずるい。


ヤキモチの、…。

もっていき場がなくなって、…。


いたたまれなくなるんです!!