しばらく、……。


動けずに、いた、――――。



追いかけたい衝動を……。


どうにか堪えて、玲を見送った。


玲は新しい人生を、生きている。


俺が…、追いかけたら…。


玲をまた、悲しませるだけだ。


でも、――――!!


今からでも、追いかけたい。

引き止めて、抱きしめたい。


叶うなら、もう一度、――――!!


この腕の中へ、取り戻したかった。


せめて、もう少し時間があったなら…。


「……っ。」


何、夢みたいなこと、考えてんだ。


玲には、もう、……。

他に恋人がいるじゃないか。

必死に泣くのを、我慢して……。

そんな姿を見たら、…笑って送り出すしか、ないじゃないか…。

今だからこそ、こうやって決着がつけられたんだ。

2年前では、絶対に出来なかったんだから…。


「…くっそ……っ!!」


玲のことは、俺が守ると言ったのに…。


…はっきりと、わかったよ。


自分の気持ちに、確信したよ。


俺は、まだ、玲を愛してる。


でも、―――。


もう、これで、いい。


この思いは俺だけの胸に、秘めておけばいい。


けじめをつけた後に、再確認した、この思い。


自分のしでかしたことへの、罰だよな…。