「逃げて、ないわ。

いつも玲に悪いと思って過ごしてるわ…。」


「玲は麻友理に謝ってほしいなんて思ってないわよ。」


「私が出来るのは、それくらい……。」


「麻友理とは違うのっ。

あんたみたいにね、男に縋って生きていくことしか出来ないような女とは、違うのっ。

玲はね、辛くても一人で前を向いて歩いている。

あんたに同情される筋合いはないの。

玲はね、一人で、しっかり頑張ってるのよっ。

あんたにはそんな真似、絶対に出来ないでしょうっ?」


「…なっ…。どういうこと、よっ。」


梨花、そのいい方はあんまりじゃない?

私だって、頑張ってる。

私だって、………。

…ちょっと、酷過ぎるわ。


言い返そうとする私を、梨花はさらに問いただす。


「玲は誰にも頼ってなんかないわよ。

違う、――――?

誰にも連絡しないで、一人で頑張ってきたのよ。

あんたみたいに男に依存して生きていくような人生を、玲は選んだりしないの。

男がいないと何も出来ないような女じゃないって、言ってるのっ!」


――――――――!!


「…依存…? 

な、何、言ってるのよ。」


「そうよ、――――。

あんたは男に依存してなきゃ、生きていけないじゃない。

高橋君の時だってそう。

今だって、渡瀬さんを騙して寄生してるだけじゃない。

渡瀬さんに、私から全部話したっていいのよっ。」