高校の時からの純愛を、ずっと貫いてきた麻友理。

そんなイメージを持たれていたから、由樹に飽きられて捨てられた、だなんて…。

みんなに、絶対、言えなかった。


ちっぽけな、私の、プライド……。


この前ね、梨花から電話があったんだ。


もう、玲に連絡しないであげてって。

どうして、そっとしといてあげられないのって。


もう、めちゃくちゃ腹が立って…。


だって、―――――。


私だって、怖かったんだもの。

玲が近くにいると思っただけで、不安だったんだもの。

玲を見つめる千尋さんの眼差しが憂いを帯びていて…。

居ても経っても、いられなかった。

この場をどうにか取り繕いたい…。

それだけの、ことだったの。


電話、かけなきゃ良かった。


本当に、そう思ってたんだよ。



「これ以上、玲を苦しめないで。」



だからぁ、……。

私は何て言い返せば、いいの?

何、言ったって、文句は続くわけで。

早く、電話、終わんないかなぁって、適当に相槌を打って。


「ごめんね、梨花。
私…もう玲に連絡しないから…。」


「……っ!!」


のらりくらりと交わす私に業を煮やしたのか、梨花は苛立ち始めて。


「麻友理はいつもそうやって逃げてばかり―――。」


もう、お説教は、うんざりだった。


放っておいて、ほしいのに、―――。