またまたまたぁ…。
私が一人で決められないの、わかってるくせに。
「航太と一緒なら、どこでもいいよ。」
不安そうな顔をした私を、航太は優しく覗き込む。
「近場だと…グアム、サイパン、韓国くらいか。」
「そっか、飛行機に乗る時間も考えないとね。」
学生の私とは違って、社会人の航太には休みが限られている…。
「国内だともう少しゆっくりできるか。
あ、北海道とか九州もいいね。」
「北海道…、涼しいかなぁ。」
いくつかの案を出しながら、何も言いだせない私の希望を、さりげなく汲み取ろうとする。
それがいつもの、航太のやり方―――。
「…じゃあ、考えとくね。」
「玲の行きたい所で、いいからね。」
そう言いながら、航太は片っ端からパンフレットを取っていく。
「あ、俺、韓国もいいなぁ。」
韓国旅行のパンフレットに載った、焼肉三昧の写真を見ながら航太は立ち止まった。
「焼肉?」
「うおー。焼肉食いてー。」
「じゃあ、今日、焼肉にする?」
「よしっ!決定!」