「悪かったな。」


綾子ちゃんを先に送った後、紺と二人、飲み直していた。


「…いや、驚いた…けど…。」


「いろいろ考えたんだよ。
当事者が知らないっていうのは…、残酷だよなって。」


「今さら知っても残酷だよ。」


「それはお前の罪だろ。しっかりと受け止めろ。」


紺は俺の背中をバシッと叩く。


…俺の罪か…。


確かに、そうだな。

天秤にかけて、麻友理を選んだと思われても仕方のないことだ。


「紺、―――。

おまえ、いつから知ってたんだ?」


「ああ、―――。

お前から聞く話と、綾子が持って帰ってくる話が微妙に違うって思ってたんだ。

確信を持ったのは、…玲ちゃんがいなくなって、すぐだな。」


「そんな前から?」


「いや、―――。

男と女だからな、言い分が違うんだろうって、思ってただけだ。」


紺は手を上げてバーボンのロックをおかわりする。


「俺、ジンライム。」


紺は、俺が注文するのを待ってから話し出した。


「この前な、――――。

玲ちゃんから2年ぶりに連絡あったんだ。

多分、麻友理ちゃんが玲ちゃんに電話したからだと思う。」


―――――――。


「最近、新しい恋人も出来て、幸せにしてるってさ。

麻友理ちゃんの電話、らしいよ。

その彼氏と付き合うきっかけになったんだと。」