妊娠がわかって、……。

きっと今までの二人なら、すぐに結婚を選んでたと思う。

みんなに祝福されて、幸せな生活を送るんだろうなって。


そう、思えるからこそ。



何故、―――――?


別れ話が出てから、こんなことに……?



「どうしよう…。

私っ、どうしたら、いいのっ?」


「麻友理……。」


「堕胎するしか…、ないよね?」


「……っ!!」


「だって、一人でなんて、…育てられない…。」


「お、落ち着いて、ね?

大丈夫…、大丈夫だから…。」



何が大丈夫、なのよ。


大丈夫なわけ、ないじゃん―――。



わかってるけど、言葉が…、出てこない。


あまりにも悲しくて……。

苦し過ぎる現実を、受け入れることが出来なくて…。


上手くいってないって、わかってて…。


どうして……。


避妊とかって……、出来なかったの?


私は小さく震える唇を、噛みしめた。


「……っ。」


どうしたら、いいんだろう。



妊娠って……。



麻友理のおなかに……、赤ちゃん……?



命が、―――。



命が、宿っているのに、―――。





私たちは、空が明るくなってから、眠りについた。




ぎゅっとくっ付いてくる麻友理を、さらにぎゅっと抱きしめて。


お腹の赤ちゃんも一緒に、抱きしめてあげたくて……。