玲の誕生日を間近に控えた、ある日。


俺は、佐藤が麻友理とのデートに、やっとこぎ着けたと聞いた。

断れ続けた先の、快挙。


ああ、それならば。


「麻友理ちゃんに聞いてみてくれないかな。

玲の欲しいもの。」


佐藤に、そう言ったんだ。

ちょっとした、話題提供、ってやつ?

舞い上がる佐藤が、何を話したらいいんだって、頭を抱えていたから。


その日の夜、佐藤からメールが届く。


『玲ちゃん、欲しいもの言ってたって。

詳しく話したいから、電話してくれだって。』


そこに記されていたのが、麻友理の携帯番号。


俺は深く考えず、電話する。


「あ、渡瀬ですけど、…麻友理ちゃん?」


「あ、はい。麻友理、です。」


「ごめんね、突然。」


「いえ、ちょうど玲と話してたんです。

お誕生日、何が欲しいの?って。」


「玲、何て言ってた?」


「それがねぇ……。
渡瀬さんから貰えるものなら何でも良いって、言うんです。」


玲って可愛いですよねっ。

もう、私が男なら、絶対玲を彼女にしたいですっ。


そうケラケラ笑って話す、麻友理。


「そっか、―――。

じゃあ、ちょっと聞き出してくれないかな。

悪いんだけど。」


「わかりましたぁ。
えっと、……。

明日もう一度その話をしてみて、聞いてみますねっ。」


「オッケー。頼む。
ありがとう、麻友理ちゃん。」


「ふふ。玲って愛されてますねぇ。
じゃあ、明日の夜、私から連絡しますね。」


「うん。21時以降だと助かるな。」


「はーい。了解でーす。
おやすみなさーい。」


最初は、そんな、感じ。