「お前、嵌められたんだよ。

麻友理ちゃんに、―――――。」


「そんな言い方、しないでよ。」


綾子ちゃんが、紺の膝を叩く。


「航太だけじゃない。玲ちゃんも、だ。」


「馬鹿っ、―――。

決めるのは渡瀬さんでしょ。

紺ちゃんの先入観で話さないでよっ。」


キッときつい視線を向けながら…。


綾子ちゃん、……?

泣きそうになるのを…我慢している…?



…………。


ちょっと…、待て。

お前ら、何を言ってるんだ?



麻友理が…、俺を嵌めた?


玲も、――――?



紺を睨んでいた綾子ちゃんが、俺に向き直った。



「紺ちゃんは、――――。

渡瀬さんの友達だからこんな言い方しか出来ない、ボキャブラの少ない男ですけど。

…ちゃんと、私の話を聞いてくれますか?」


…おい。

紺、酷い言われようだぞ。

確かに、紺は先走りする性格だけど…。


…ふっ。


俺は少し気持ちが軽くなって、

「ああ。ちゃんと聞く。」

と、言った。


遠慮なく何でも話してくれよ。


俺にはもう、何も残ってやしないんだから。