あの夏の日、―――――。


二人で腕を組んで帰った、あの夏の夕暮れ時。

見上げた空に光る、金貨のように輝くお月さま。

あんなに綺麗で輝く月を、私はあれ以来、見たことがないよ。

きっと、玲が一緒だったからだよね。


嬉しい。

楽しい。

美味しい。

美しい。

可笑しい。

そんな素直な感情を、いつも一緒に共有してきたのは、玲、あなただった。

辛くて死にそうな時に、いつも私のそばにいてくれたのも、玲だった。


小さな体で、私を抱きしめてくれて……。


「大丈夫だよ。」


そのひと言で、私は救われたんだよ…。


どんなに嬉しかったか…。

どんなに心強かったか…。


まさか私が、――――。


玲に苦しみを…、悲しみを与えてしまうなんて、思ってもいなかった。


失くしてから、気付いたの。

私は…、玲が大好きだったのに…。

いつも私のそばにいてくれたのに。

私は…なんてこと、してしまったんだろう…って。


でもね、やっぱり、航太だけは、譲れなかったの…。