―――――――。




通話が途切れても、しばらくは動けなかった。


あの玲が…、こんなに声を荒げるなんて…。



最低だ。


最低だ。


馬鹿だ…。


本当に…馬鹿だ。



自分自身の愚かさに…、目眩がする。


ごめんなさい。


ごめんね、玲。


本当はね、忘れることなんて、出来なかったの。

だって、玲はいつも一緒だったから。


いつも私に笑いかける、天真爛漫な玲の笑顔。


玲、会いたかったよ。

玲のこと、忘れたこと、なかったよ。


ごめんね。

私、航太が好きなの。

あの人がいないと、生きていけないの。


誰かに頼らないと生きていけないのは、私の方。

玲を、優しく見守る航太の瞳に、恋をしてしまったの。


あなたは一人で大丈夫でしょう?


私は、駄目なの。

航太がいないと、駄目なの…。



玲を、傷つけることしかできない私を…、



許さないで。



どうか、許さないで。