「いい加減にしてよ。

もう、2年だよ。私は前に進んでいるの。

これ以上、関わりたくないし、思い出したくもないの。


…本当はね、麻友理の声なんて、

聞きたくもないのっ。」


「……っ!!」

今までの思いが、つい強い口調となって言ってしまう。


「もう二度と、連絡してこないで。」


「…そう。そうよね。

わかったわ。

忙しそうなのに、ごめんなさいね。

私、玲の気持ちも考えないで…。

マリッジブルーなのかしらね。」


「もう、切るから。」


「忙しいのに、ごねんね。」


最後にそう言って、麻友理は電話を切った。


どうして、―――――。


どうして、放っておいてくれないのかな…。

どんな思いでこの2年間、…。

生きてきたと思ってるんだろう。


麻友理は、あの優しい声のまま、私に爆弾を落として行った。

投下された爆弾は、見事に私に命中して。

おまけに剣で刺され、弓を打たれ、槍で突かれて、ゲームオーバー。

セーブする余裕さえも、無かった。


「お幸せに。カナダでもお元気でねって、言ってやればよかったのに。」


トイレから戻ってきた桜木さんは、私の顔を見て状況が読めたようだ。


「本当ですね…。」


「吉野、大丈夫なの?」


首を左右に振ると、優しく頭を撫でてくれた。