嘘を、吐いた。



私の目を一生懸命見つめる、玲の真っ直ぐな視線に、耐えられなかったから。


…航太は、―――。


どうするのかな……。



あの…キスは…。


同情のキスだったと思う。


航太はそれ以上、私に手を出さなかったから。


だけど、あんなに優しいキスは……。


私を狂わせた。


航太は、私と玲が親友だからこそ、邪険な態度に出なかっただけだ。


そんな航太に、私は甘えた。



だから、――――。



先に手を、打ちたかったの。


勝てる自信が、あったから…。


あの夜、無理やり呼び出して…。


酔って航太が寝ている、隙に……。


こっそりとキスマークを、付けて。



きゅっと堅く結んだ唇が、震えている。



今回も、私は仕掛けたんだ。


玲が自分から身を引くように…って。


弱くて、泣き虫で。


私のそばから、離れられない、玲。


ガツンと言っちゃえば、泣いてすごすご帰ると思ったのに。