「…気持ちの整理がつかないのは確かだよ。

でも、航太とは…。

もう私の中でありえないの。

好きとか、嫌いとかじゃなくて。

麻友理と航太が愛し合っているのなら、この先のことは二人で決めたら?

好きにしたら、いいんじゃないかな。」


「でも…。」


「私のことなんて、気にしないで…。

幸せになって。」


言い終える前に、席を立つ。

もう、ここに、いる理由はないもの。


謝罪の言葉なんて、聞きたくない。


もう、遅いけど…、私にもプライド、あるんだよ?


「待って、―――。

玲、お願いよっ!!」


すがるような瞳は、私を苛立たせる。


どうしてそんな目で見るの?

願ってた答えじゃ、ないの?

これ以上、私に、何を…求めるの…?


「許してくれるの?

航太とのこと、許してくれるの?」


私は全て無視をして、店を出た。


振り返らなかった。


だって、――――。


もう、充分だよ…。

もう、聞きたくない。


早足で信号を渡り、角を曲がる。


視界からカフェが途切れた瞬間、抑えていた感情が溢れ出していく。


「……っ!!」


駄目……。

こんな、ところで…泣いちゃ駄目……。


気持ちとは反対に、涙がとめどなく頬を伝い流れ落ちていく。

立っていることすら出来なくて、腰が抜けたように蹲ってしまった。