「あ、美味しい…。」


「だろ?」


本当に航太は料理が上手い。

何でも器用に作れちゃうんだよね…。


「ボロネーゼにしようかと思って。

夜はパスタでいい??」


「ごめん! 私、何にもしてないね。」


「玲はサラダ作ってよ。」


「うん。」


こういう時、彼女ならパパっとお料理しなきゃいけないと思うんだけど。

航太はそういうの、気にならないみたいで、私はいつもお手伝いのまま。


「じゃあ、先にDVDでも借りに行くか。

帰りに足りないもの、買い出しに行く?」


「うんっ。」


「あぁ。でも…。」



―――――?



「その前に、もう一回。

……、だめ?」


「えっ!!」



航太は私を抱き寄せると、そのまま体重をかけてベッドに押し倒していく。



「こ、航太っ。」



額に柔らかな唇が触れ、私の意識は一瞬で覚醒した。



「ちょっと…、待って…。」



そんなっ、――――。


もう、無理だよ……。



私は必死に航太の胸を押し返すけれど。

あっさり捕まってしまった両手は、頭の上で固定されてしまう。


「ま、待ってっ!」


「待つよ? いくらだって。」


頬を、ベロりと舐めあげられ、妖しく動き回る柔らかな舌が、耳へと侵入する。


「……っ、あ、んっ。」


「ったく、―――。

そんな可愛い声、出しちゃって。

玲の可愛い声、もっと聞きたいな。

だって、俺しか知らない声、だろ?」