「えっ、いや、あの…っ。

ちょっと、すごかった…か、な…。」


「もっとなら、言って?

正直、俺は、全然足りてないから。」


「えっ??」


慌てて飛び起きた私に、意味深に口角を片方だけ上げながら、航太はニヤリと笑ってみせた。


「ははっ、焦ってる、焦ってる。」


あ、―――。

もしかして、からかわれたの!?



「もうっ!! 航太の馬鹿っ。」


「ごめん、ごめん。
あんまり玲が、可愛くてさ。」



正直、今日の航太は執拗なくらい、私を攻め立てた。



あんなの、初めての経験で…。

もうだめって、何度お願いしても、離してはくれなくて…。

自分でも信じられないくらい、航太の熱に溺れてしまったんだ。


迂闊にも、意識まで失くしちゃって…。

そのまま眠ってしまったことにも驚いてるのにっ。



「怒るなよ。」



航太は笑いながらキッチンから出て来ると、ストンと私の横に腰を下ろす。



「ね、これ味見してみて。」



目の前に差し出されたお皿には、赤いソース。

航太はそのソースを指で拭うと、私の目の前に差し出した。



「舐めてみて。」


…、指、を…??


「舐めてよ、玲。」



―――――!!



もう、またからかってるの…?

悔しいなぁ、もう。



「いいよ。」



私は平気な顔をして、差し出された人差し指を口に含む。