航太、―――。



お願い…だから…。



もう、帰って、欲しい…。




「ごめん。


ごめん、本当にごめん。」




お願いだから。




謝らないで。




航太に謝られたら、



私はどこに向かえばいいの?




爆発しそうな感情に、歯止めが効かなくなりそうで。



目を開けていることすら辛くて、私はそっと視線を逸らす。




「玲。…本当に、ごめん。」




航太は私を、……抱き寄せる。




「……っ!!」




刹那、湧き上がる、感情。



鳥肌が立つくらいの、嫌悪。



身体中が、拒絶、する。




お願い、――――。



もう、構わないで―――。





……………。





ああ…。




航太の前では泣きたくなかったのに。




溢れ出した涙を、抑える術もなくて。




航太の腕の中で、ズルリ、と身体が落ちていく。




「…泣かないで、…くれ…。」




力の抜けた私を、辛そうな瞳で見入る航太。




一瞬、躊躇うように揺れた瞳が、視線を伏せた。






そして、―――。





私の唇は、塞がれた。