「…玲。」



ふわりと、頭上から航太の声がした。



苦しそうな、顔……。


ねぇ、どうしたの……?



そんな、悲しい顔をして、どうしたの?




――――――――!!




気づくと、航太は服を着ていて。



そして、私の目線に視線を合わせて、しゃがみ込む。




「今日は、…帰るね。」




―――――――!!




そう、ひと言、言い残して。



え、―――。



待って、……?



動けなくなった私を置いて、ドアを開けて出て行ってしまう。





私をひとり、部屋に残して。






――――― っ!!






ああ、――――。





いやああああああああっ!!!





いきなり、地面に叩きつけられたような衝撃だった。



血流が止まってしまったように、指先が冷たくなって震え出す。




…ふ、ああぁっ…。




頭から、一気に血の気が失せていく。


いっそのこと、気を失ってしまえば良かったのに。