うっとりと見上げたその先に、何故か苦しそうな航太がいて。


航太……?


「俺、何、やってるんだろう…。」


「え、――?」


「玲がいないと駄目なのは、俺なのに。」


不安そうに揺れる瞳に、心臓がドキン、と跳ねた。


あ、―――。


「航太、私が足りないって…。

私の気持ちが、足りないってこと??

えっと、…伝わってないのかな?」


私、航太みたいに愛情表現、苦手だし…。

すぐに赤くなるから、恥ずかしくて言えないことも多いし…。


そうだよね、―――。


言わなきゃわかんないよね…。

いつも航太が私に伝えてくれるように、私も航太にちゃんと伝えなきゃ…駄目だよね?


私が航太を…不安にさせてるって、ことだよね?


「ごめんね…。

…いつも甘えてばっかりで…。

私、恥ずかしくて、…ちゃんと言えなくて…。」


「いや、そうじゃないんだ。
玲の気持ちは、ちゃんと伝わってるよ。」


いつの間にか、私の右手は航太の左手としっかり繋がれていた。

その右手にゆっくりと圧が掛かり、私は動けなくなってしまう。


柔らかな航太の唇を感じて、そっと、瞳を閉じた。


いつもよりずっと熱の籠ったキスに、一気に火照りだす身体。

どんどん頭の中が真っ白になって、夢中で航太にしがみついた。


「…玲、…っ。

俺から離れないでくれ…。」


―――――――!!