それから有紗は、自分の知っている限りの恩田先生の情報を私に教えてくれて、それから電話を切るときにこう言った。



『恩ちゃんが今でも亡くなった人を好きだとしても、恩ちゃんを助けられるのは生きてる人間だよ。私、千秋にはそれができる気がする。……理由はって聞かれたら、困るんだけどね』


「有紗……」


『……なんて、私も角田先輩とよく喧嘩するし恋愛ってなんだろうって思ってばっかりなのに、偉そうにごめんね?』


「ううん……ありがとう」



先生を助けられるのは、生きてる人間……

確かに、そうかもしれない。


先生がどんな風に、先生の大切な人を失ってしまったのかはわからないけど……きっと毎日後悔してる。


死んだ人にはもう会えない。


だから先生がどんなに後悔しても、一生許してもらうことはできない。


だったら別の誰かが。

もういいんだよ、大丈夫だよって言うみたいに、心に寄り添ってあげることができたら……

そうすれば、先生は救われるのかもしれない。