驚いたように目を見開きながら、みゆちゃんはあたしを押し退けて太一の前に立った。
後ろへやられたあたしは、完全に蚊帳の外(かやのそと)状態。
「みゆ……?泣いてんの?」
優しく微笑みながら、太一はみゆちゃんの頭を撫でた。
「本当に、お姉さんなの……⁉」
か細い声で、疑いの眼差しを太一に向けるみゆちゃん。
「疑ってんの?なんなら、姉ちゃんに紹介してやるよ」
「ちょっと待ってろ」と言い残して、太一は部屋の中へと消えて行った。
…………
ちょっと待ってよ‼
あたしの存在は無視ですか?
っていうか、なんなの……この展開。
みゆちゃんの勘違いだったんじゃん。
それに巻き込まれたあたしって
バカバカしい。
もう、帰ろう。
なんか、怒ってエネルギーを使ったことを激しく後悔してしまう。
あたし、結局太一になにを言いたかったんだろう……。
とりあえず浮気はやめろ……的な?



