「ウジウジ悩むのは昔から変わってねーな」
二カッと笑った口元から覗く八重歯が、大樹の印象を可愛くさせる。
まだどこか幼さの残る顔が、昔の大樹と重なって見えた。
ガタッ
「ほら、行くぞ」
車のキーとスマホ、財布を持って立ち上がった大樹は、まだ飲んでいた亜希とあたしにそう言った。
「え⁉行くって、どこに?まだビールも食べ物も残ってんじゃん」
ポカンと大樹を見つめる亜希。
あたしも同じようにポカンとしていた。
すると大樹は「いいから付いて来いよ」と言って、スタスタ一人で行ってしまった。
行くって……まさか。
あたしの思い過ごしであってほしい。