銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 モネグロスはもちろん、ジンにも船にも、こんなに慕われてる。

 アグアさんってどんな精霊なのかしら。

「ねぇ、アグアさんてどんな人?」

「アグアは人間じゃない。水の精霊だ」

「いーじゃないのよ、細かい事は気にしないの」

「アグアはとても美しい精霊なんだ。水の精霊は特に美しい者が多いが、その中でもアグアは飛び抜けて美しい精霊だ。オレはアグアほど美しい精霊を知らない」

「そうなんだぁ……」

 あたしは見知らぬ、アグアさんの美貌を思い描く。

 モネグロスもあれだけ美貌の神だし、並んだら、さぞかし美男美女カップルなんだろうな。

 神々しそうね。会った瞬間、思わず両手を合わせて拝んじゃいそう。

「とてもお似合いなのね」

「全てにおいて、完璧な組み合わせだ」

「完璧か。すごいわ」

「神の領域だけに許される言葉だ。『完璧』という言葉は」

 完璧なカップル。完璧な存在。完璧な一対。

 片方を失えば、それはさぞかしお互いにとって悲劇だろう。

「それにしても、完璧な神、ねぇ。モネグロスがぁ?」

「こら、失礼だぞ」

「だってどうにも、頼りないというか、何というか」

「モネグロスはあれでいいんだ。アグアがその分、しっかりしてるから」

 ふーん。姉さん女房タイプなのか。

 まぁ、モネグロスは心優しくて純粋だからね。足りない部分を補い合ってこその、完璧なのかもね。