……ちょっと、そこの太陽!

 少しはモネグロスの体を気遣って、遠慮したらどうなのよ!

 だいたいねぇ、太陽なんかふたつもいらないっての!

 ひとつありゃ充分よ! かたっぽ邪魔!

 ……と、太陽に向かって悪態をついていたら、いつの間にかジンが隣に立っていた。

「雫、すまなかった」

 突然謝られてしまったあたしは、呆気にとられる。

 な、なによ突然。あんたがあたしに謝る事なんてないじゃない。

 どっちかっていうと、あたしの方こそ色々謝罪しなきゃいけないのに。

「何を謝ってるの?」

「まあ……色々とな。オレはな、正直言って人間に対して偏見を持っている」

 真正面からキッパリ言い切られて、あたしは返答に困った。

 正々堂々と『偏見を持っている』って断言されて、さてどうすりゃいいのか。

 ここって怒るべき場面?

 でも、あぁやっぱりそうかって気持ちの方が大きい。

 最初に出会った時から、妙にちくちくチクチク刺さってたのは、気のせいじゃなかったんだ。

 ……持っている、か。

『持っていた』って過去形じゃないって事は、現在進行形なわけね?

 それも無理もないのかもしれない。ジンの立場からしてみれば、悪いのは全部人間だものね。

 こんな最悪の状況を作った諸悪の根源に対して、恨みつらみも苦情も偏見も、そりゃ持ちたくもなるでしょうね。

 あたしは一切関与してない事だけど。