銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 ヒステリックに叫ぶあたしに、ノームが途切れ途切れの息で答える。

「しずくさんも、今まででずいぶん、水の力をつかいましたから……」

 そういえば、そうなのかもしれない。

 元々半人間だから、生粋の精霊に比べると能力も容量も格段に低いだろう。

 もうガス欠を起こしているのかも。

 ……こんな肝心なときに役に立てないなんて最低だわ!

「ごめんなさい! みんな、ごめんなさい!」

「しずくさん、あやまらないで……」

「うぅ……」

 ノームに慰められて、ますます泣けてしまう。

 どうにもならない自分の無力さが、未熟さが、腹立たしくて腹立たしくて仕方ない。

 流す涙があるんなら、この涙でみんなを治癒したいと痛切に思うのに!

「とにかく、なんとかして上へあがりましょう、アグアを上へ残してきてしまいました。しんぱいです……」

 そうだわ! アグアさん!

 彼女は精霊の生贄として番人に狙われているんだわ!

「土と蔓で守ってはいますけど、いつまでもつか」

「分かったわ! すぐ上へ戻りましょう!」

 あたしは涙で濡れた顔を上げた。 ほんとに泣いてる場合なんかじゃないんだ!

 ここで泣いてても何にもならない!