銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 イフリートが……消えた。

 消えて……しまった。

 燃え尽きた。彼は、いなくなってしまった。

 あたしを、『我が友である雫』と言ってくれた彼は、もういない。

 モネグロス。そしてイフリートも、いない。

 いない。

 いないんだ……。

 自分に言い聞かせないと納得できない。信じられない。

 次々と大切な存在が消えていくこの現実が、とても信じられない。

 生きていた者が『死ぬ』という現象が、よく理解できない。

 あたしはあの時、会社の屋上から飛び降りて死のうとしたくせに。

 した、くせ、に……。

 水のドームは、いつの間にか消滅していた。

 きっと能力の限界を超えていたんだろう。

 あたしひとりの力では、皆を守りきる事はできなかった。

 あのままでは全滅していた。イフリートが命を捨てて、あたし達を守ってくれた。

 感謝している。彼に。心の底から。

 あたしは生涯、絶対に彼のことを忘れない。

 でも……。

 でも、イフリートに生きていて欲しかった。

 モネグロスに生きていて欲しかった。

 生きていた方が、何倍も何倍も嬉しかった。

 当然のことだ。当然のこと。

 その、当然のことを……

 奪い去ったのは……