銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 水が溢れるように湧き

 緑が豊かに育ち

 眷属達が賑やかに息づき

 砂漠の砂は日の光を浴び黄金色に輝く。

 モネグロスとアグアの愛も、光り輝いていた。

 それらの全てが、永遠に変わらないと信じていた。


 ……森の人間の国の狂王が、神を裏切るまでは。


 この世界の全ての物は、神達によって創り上げられた。

 オレ達精霊も。当然、人間達も。

 神達は、自分達の姿を映した人間の存在を、ことのほか愛でた。

 生まれたばかりの人間達を特別に庇護し、守り、恩恵を与え育てたのさ。

 人間達も神を信じ、心から敬い、支えとしていた。

 神と人は、お互い愛し愛され、双方無くてはならないほどに親密な関係を保ち続けた。

 そして……
 そして、気の遠くなるような長い長い年月が過ぎて……。

 人間は、いつの間にか独自の『知恵』を持つようになった。

 自分達の国を作り、規範を作り、思想を持った。

 それにつれ、人間は徐々に神の手から離れていった。

 神たちは、それを良い成長だと喜んだ。

 生み落とし、常に見守り、手助けしてきた愛し子たちが、やっと自らの足で歩み始めた。

 寂しくはあったけれど、それこそが種として正しい道だと。

 人間達も、神への畏敬の念は変わらず持ち続けて、お互いの関係は、とても良好だった。

 ……狂った王が現れるまでは。