銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

―― ドシュゥッ!

 大音量と共に、突然閃光が走った。

 驚いたあたし達は顔を上げて、そして更に驚愕した。

 三本の石柱のうちの一本が、真っ白な光を放ち輝いている。

 その眩いばかりの光が天に真っ直ぐ向かって、黒い雲に突き刺すように伸びていた。

「まずは、ひとつ」

 いつの間にか番人が石柱の傍に立ち、光を見上げている。

「番人! 貴様、何をしたのだ!?」

 いまだ脱力状態のあたし達に代わり、ヴァニスが叫んだ。

 番人は振り向きもせず、返答もせず、ひたすら天に伸びる光を見続けている。

「答えよ! 番人!」

 怒りを孕んだヴァニスの叫びに、番人はようやく口を開いた。

「王よ、答えずとも知っているはず」

「余が知っている!? なにを知っていると言うのか!?」

「これは、代償である」

 代、償? なにが? なんの?

 そのあたしの疑問をヴァニスが番人に問う。

「代償だと!? いったい何の事だ!?」

「知れたこと。人間が神に対して払った物と同じ」

「なに!?」

 人間が、神に対して払ったもの?

 それは……

 命。

 人間は、大きな望みを叶える為に、それに相応しいだけの人身御供を差し出した。

 それでようやく望みは叶えられて……。

「……!」