銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「……モネグロ、ス……?」

 あたしはヘナヘナと崩れ落ちてしまった。

 懸命に懸命に、彼の姿を探して、ほんの僅かな影でも見逃さないように周囲に目を凝らす。

「モネグロス? ねえ、モネグロス。モネグロス……」

 でも……

 いくら探しても、もう、モネグロスはいなかった。

 彼の名残は、土の上に残された砂粒と、彼が最期に流した涙の粒だけ。

「モネ、グロ……ス……」

 あたしは涙で霞んだ目で、その砂を見つめた。

 モネグロスの様々な表情が思い浮かぶ。

 優しいモネグロス。泣き虫なモネグロス。純粋なモネグロス。頼りないモネグロス。

 一途に……ひたすら一途に、アグアさんを愛し続けたモネグロス。

「う……」

 涙が込み上げ、息が詰まる。彼は、その……

「ううぅ……」

 その、最愛のアグアさんによって殺されてしまった!

「うわあああぁぁ――!!」

 あたしはうな垂れ、両手で強く土を掻き毟り泣き叫ぶ。

 爪の間に土がザリザリとめり込んだ。

 よりによって! よりによってこんな!

 あんなにも愛したのに!

 アグアさんへの愛だけが全てだったのに!

 彼は自分の命を繋ぐたった一本の細い糸を、目の前で断ち切られてしまった!

 真実の愛を捧げた者の手によって!

 ボタボタと涙が地面に落ち、あたしは肩を震わし嗚咽する。

 泣いても泣いても涙がほとばしった。