銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 これが本当の愛! 何も心配なんて無かったんだわ!

 見たか番人! モネグロスの愛は本物よ!

 真実の愛は、あんたの姑息で陰険な企みになんて決して動じないわ!

 これでモネグロスの消滅も免れる! きっとアグアさんもすぐ元通りになるわ!

 もうこれで番人の思い通りになんてならな……

―― ビシャリ!

 ……え?

 アグアさんの手が、モネグロスの手を乱雑に払う。

 その手からヘドロが飛び散り、地面に嫌な音と臭いを立てた。

「私が、この汚らしい手を取ると思ったか。モネグロス」

 アグアさんのノドから怨嗟の声が響いた。

 モネグロスはキョトンと目を丸くして、アグアさんを見上げている。

 あたしは、頭から爪先まで冷えていく不安な感覚に襲われた。