銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「アグア……?」

 モネグロスが、小さな声で呟いた。

「アグア……アグア? やはりアグアですね?」

 ほとんど透けて、もう、ぼんやり朧にしか見えないモネグロスの表情は、喜びに満ちていた。

「あぁアグア、会いたかった。アグア」

 透けた頬を、歓喜の涙が幾筋も幾筋も伝う。

 透明に輝く涙の雫がポタポタと零れ落ち、幽玄のような腕が、愛する者へ向かって懸命に伸びた。

 彼の愛そのもののように、まっすぐアグアさんへ向かって。

「どれほど、この時を夢見たことか」

「……」

「さあ、アグア……」

 小さく掠れた、でも幸せに満ちた優しい声。

 向こう側が透けるほど薄い、でも満面の微笑み。

 そして柔らかな愛の囁きが、アグアさんを誘う。

「……モネ……グロ……」

 アグアさんが引き寄せられるようにユラリと近づき、モネグロスの透けた指先とアグアさんの手が触れあった。

 やっとのことで叶ったふたりの再会に、あたしは震える両手で口元を押さえる。

 別にクサいんじゃないのよ! いや、確かに臭うは臭うんだけど!

 感動で涙が止まらないの!